[附子 第2回]「附子」を前にくつろぐ二人

附子(ぶす)

二人は両足を前で組んでどっかりと座り込んでいます。

うるさい主人が留守でのんびりでき「やったぜ」といったところでしょうか。

絵にある台詞は、演技そのままを書いている場合もありますが、「ゆっくるできるぞー ふう~」や「やっと出かけおったわい……」などは岩田さんが映像から読み取って付け加えたものです。これら追加された台詞によって、いっそう絵が引き立っていますね。

太郎じゃと次郎冠者の関係

太郎が兄貴分で、次郎は従順に兄貴の言うことを聞いているようです。主人の留守にくつろぐ二人は、とても仲が良いようです。

和泉流では歴然とした上下関係があるようですが、大蔵流の茂山千作・千之丞兄弟の手に掛かると、二人の関係はもっと複雑で、それぞれが自由に生き生きと舞台上に存在しています。

その場その場で変化していく二人の関係や、変わらない人格などを楽しむのも、面白さの一つでしょう。

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三宅 晶子

横浜国立大学名誉教授。中世日本文学(特に能楽)、古典教育を専門とする。『歌舞能の系譜――世阿弥から禅竹へ』(ぺりかん社、2019年)ほか、能楽・古典教育に関する著書多数。

岩田 千治

奈良大学文学部国文学科。高校・大学で美術部に所属し、第29回奈良県高校生アートグランプリでは、平面の部 特別賞を受賞した。奈良大学の講義ではじめて狂言に接し、その感動をイラストで表現している。

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