〈茸〉――授業をしてみて

福岡県立高校教諭 渡邊千穂

授業をしてみて

前回と同じく、イラストを使って狂言を見ていきました。

今回の「茸」は前回の「附子」より聞きづらく、また主人とのやり取りや山伏の呪文が多いので、そこが難しかったなと思います。これが、字幕などがあったら、生徒も言葉の面白さ、やり取りや呪文の面白さなどをとることができ、もっと楽しめたのではないかと思います。ただ今回は言葉が難しかった分、「今回の話はこの(イラストの)プリントがないと理解できませんでした」という生徒が数人いたので、やはりイラストが生徒の理解に役立っているようでした。

生徒の感想には、主に動きの面白さに注目しているものが多かったです。山伏の大きな動きが面白い、呪文によって茸が動き出すのが面白いという感想は多くの生徒が持っていました。特に茸の動きには、「すり足で回るなんですごい体幹だ!とてもできない!!」という意見は多かったです。「きっと子ども時から修行をしているんだ」と推測している生徒もいました。他にも、茸について、成長して人のようになっていること、増えた茸のはしゃいでる姿や声の可愛さ、色づかいのカラフルさや、最後に毒々しい見るだけで「やばい」茸が出てきたのが、。面白かったと言っていました。山伏は、うさんくさいとばれないように必死に言い訳するのも面白いという感想もありました。

前回よりも言葉が難しかった、聞き取れなかったという感想も見られました。しかし、それでも「つまらない」とならずそのような生徒も、ストーリーであったり、言葉であったり、動きであったり何かしらの面白さを見出していました。中には、「言葉は何を言っているか分からないけれど、動きだけで何をしているか分かってとても面白いなと思いました。全部の動きがゆっくり、丁寧でとても分かりやすかった。表情管理もすごいなと思いました。」という感想もありました。

附子に続いて二回目の授業で、狂言に興味を持った生徒が数人出てきたことは嬉しかったです。「毒々しい茸が誕生した後気になるので、家で調べようと思います。」「動画で見るのではなく、リアルタイムで見たいと思ってしまった。」「狂言は難しいという勝手なイメージがありましたが、楽しくてわかりやすいので気軽に見れました。狂言でしか味わえない楽しさがあることを知れたので、他の狂言にも興味が出ました。イラストのおかげで、もっとわかりやすく見れたので、このイラストを見ながら後も狂言を楽しみたいです。」「分からないところが附子よりも結構あったが、イラストを理解できたところもあったので、だんだんと狂言に興味が湧いてきた」「今回は前回に比べて理解できなかったので、狂言を理解する力をつけたい」などの感想がありました。

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三宅 晶子

横浜国立大学名誉教授。中世日本文学(特に能楽)、古典教育を専門とする。『歌舞能の系譜――世阿弥から禅竹へ』(ぺりかん社、2019年)ほか、能楽・古典教育に関する著書多数。

岩田 千治

奈良大学文学部国文学科。高校・大学で美術部に所属し、第29回奈良県高校生アートグランプリでは、平面の部 特別賞を受賞した。奈良大学の講義ではじめて狂言に接し、その感動をイラストで表現している。

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