場面はまた変わりました。
ここから都までは緩やかな下りで、雪も小降りになり、老ノ坂までとはうって変わって楽な道です。おまけに木六駄は茶屋に残してきたので、半分の牛六頭だけを引いています。まだ酔いが醒めていない太郎冠者は千鳥足に鼻歌交じりで歩いています。
牛に雪が沢山積もっているのを見て「重荷に小付け(小さい荷物)じゃ」と笑ったり、「雪山」の小謡をのんきそうに謡いながら下っていきます。先ほど沓を踏み切った飴牛がにらむといってにらみ返したりするうちに、もう伯父の家に着いてしまいます。
この場合も、橋掛かりに繋いであった牛を連れて、舞台から橋掛かりへと移動し、最後に橋掛かりから舞台に入って、伯父の家に到着します。

雪道で十二匹の牛と格闘していた場面との演じ分けが面白いのですが、多少二番煎じ的でもあり、かなりここまで見応えのある演技が続いてきたので、見ていてもちょっと疲れてしまう感じはあります。そのせいでしょうか。この場面の絵は一枚も描かれていません。