[靱猿(大蔵流)第2回]猿引が猿を連れてやって来る

靱猿(うつぼざる)大蔵流

猿引

労働者階級なので、基本的には太郎冠者と同じ扮装です。商売用のへいを腰に挿し、猿に指示を与えるための鞭を手に持っています。

猿の面を付け、モンパという着ぐるみを着ています。猿のモンパは猿皮と言い、綿毛の多い柔らかな綿布を用いて作ってあるようです。

小さな子供が中に入っていて、身軽に転げ回ったり、毛繕いをしますが、その姿が、可愛く描かれていますね。

二つの場面が同時進行する演出

狂言では珍しくない演出法ですが、舞台では大名と太郎冠者が狩の話をしながら道行きをしています。その時、橋掛かりに猿を連れた猿引が登場し、名乗ります。

二つの場面が同時進行するので、ごちゃごちゃした感じにもなりがちですが、役者たちは、上手く緩急を付けて、両方の台詞がちゃんと観客に伝わる配慮をしながら演じています。 大名と太郎冠者の演技が終わってから猿引が登場するのよりも、場面展開がスピーディーで、いかにも行き掛けに猿引と出会うという感じが良く出ています。

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三宅 晶子

横浜国立大学名誉教授。中世日本文学(特に能楽)、古典教育を専門とする。『歌舞能の系譜――世阿弥から禅竹へ』(ぺりかん社、2019年)ほか、能楽・古典教育に関する著書多数。

岩田 千治

奈良大学文学部国文学科。高校・大学で美術部に所属し、第29回奈良県高校生アートグランプリでは、平面の部 特別賞を受賞した。奈良大学の講義ではじめて狂言に接し、その感動をイラストで表現している。

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