

鬘桶の蓋を盃とし、扇で酌をする演技は、和泉流と同じですが、主人は一刻も早く謡わせようと、自分で酒を持ってきて、自分で酌をし、注ぐとさあ呑め、さあ謡えと矢の催促をします。
和泉流と違って、ここでの演技も主人は始終良い機嫌で、この状況を楽しんでいるようです。




二盃目を呑み終わった時点で、主人はもう待っていられないといった風情です。太郎冠者はまだまだお酒が呑みたいので、「三献呑んで謡います」と、ちゃっかり三杯目にありつきます。和泉流同様三杯呑んでこの場面は終了となるのですが、「めでたく三献」という持って行き方なので、暖かい雰囲気が漂って、ほのぼのした感じになります。こんなところにも、二人の人間性が関係してきますね。

太郎冠者を演じている千作師もお酒が大好きで、美味しそうな呑みっぷりが魅力的ですし、千之丞さんの清濁併せ呑んでいるような、器の大きな主人ぶりも板に付いていて、良い場面です。岩田さんはその面白さを丁寧に拾って詳しく絵にしてくれていますね。