[唐相撲(現代の狂言)第1回]相撲取りと皇帝一行の登場

唐相撲(とうずもう)現代の狂言

まず日本の相撲取りが登場します。烏帽子えぼしを被り、おうの上着にくくはかまいでたちです。1))

ながらく唐に滞在したので、帰国したいと思い、皇帝の行幸を待って、願出ようと言います。

〔来序〕2))という軽快なリズムで楽しげなはやの演奏に乗って、皇帝一行が登場します。

1)通常は袖のない肩衣を着用することが多い。
2)唐の皇帝が登場するときに奏せられる楽。

皇帝はカルサンと呼ばれる唐服を着込み、その上に豪華なかりぎぬはんぎりという大きくひらいた袴を着用し、唐冠を被って白い大ひげを付け、唐だんせん(中国風の丸い扇)を持っています。長柄のしゅがさを差し掛けられ、大勢の家来たちを従えて、やって来ます。

行列の最後に登場するのは通辞(通訳)で、唐織の小袖に括り袴を着用し、中国風のチョッキのようなもの着ています。おかしな形の帽子を被り、やはり白い大髭を付けて、唐団扇を持っています。

お供の唐人たちは、色や模様が様々なカルサンを着用し、唐風の帽子を被っています。中には黒い大髭を付けている者もいますし子方も登場しています。

この唐人役は何人と決まっているわけではなく、当初は一人だったようです。多ければ多いほど賑やかで楽しい演出になるので、近年増加の傾向があり、使用した映像でも舞台と橋掛りに目一杯座ります。

三宅 晶子

何とも奇妙な一行ですが、江戸時代の日本人が中国という異国に対して抱いていた、あこがれと異質感がよく現れています。平和で暢気で楽しそうな雰囲気を振りまいてやって来るので、見ている側も幸せな感じになります。

岩田さんは舞台にずらりと並んでいる様子ではなく、様々な年齢の役者が、様々な扮装をして登場することに興味を持ったようです。

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三宅 晶子

横浜国立大学名誉教授。中世日本文学(特に能楽)、古典教育を専門とする。『歌舞能の系譜――世阿弥から禅竹へ』(ぺりかん社、2019年)ほか、能楽・古典教育に関する著書多数。

岩田 千治

奈良大学文学部国文学科。高校・大学で美術部に所属し、第29回奈良県高校生アートグランプリでは、平面の部 特別賞を受賞した。奈良大学の講義ではじめて狂言に接し、その感動をイラストで表現している。

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