[釣狐(和泉流)第4回]罠を捨てさせる

釣狐(つりぎつね)和泉流

猟師はせっしょうせきの物語を神妙に聞いていたようで、「もう狐釣りは止めるので安心してください」と言います。しかし目の前で罠を捨てろと言われると、すんなりとは従いません。やはり釣りを止める気はなさそうですね。

それでも諦めずくどくさとすので、とうとう猟師は罠を持って来て、はくぞうの鼻先に突き出します。

ただでさえ恐ろしい罠なのに、そこには餌が付けてあるのです。狐の身としては食べたい欲望が沸き起こる餌ですが、出家の身である白蔵主としては、生臭くてたまらないという反応をしなければなりませんね。

この意地悪な態度は決定的で、猟師は本当の白蔵主ではないと確信していることがわかります。

その場面が上手く絵になっています。 なんとか罠を捨てさせることに成功して、白蔵主は機嫌良く、「そのうち寺に訪ねておいで、昆布に山椒、あとは茶ばかりしかないけれど」と言いながら、機嫌良く猟師の家を後にします。

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三宅 晶子

横浜国立大学名誉教授。中世日本文学(特に能楽)、古典教育を専門とする。『歌舞能の系譜――世阿弥から禅竹へ』(ぺりかん社、2019年)ほか、能楽・古典教育に関する著書多数。

岩田 千治

奈良大学文学部国文学科。高校・大学で美術部に所属し、第29回奈良県高校生アートグランプリでは、平面の部 特別賞を受賞した。奈良大学の講義ではじめて狂言に接し、その感動をイラストで表現している。

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