[唐相撲(現代の狂言)第2回]帰国を願う日本の相撲取り

唐相撲(とうずもう)現代の狂言

皇帝は大宮(おおみや)の台上1)に座り、「フウライライフウ」と、とういん2)で通辞に何事かを言い付けます。通辞は「ワンスイワンスイチンプルプウ」とうやうやしく応じます。通辞の言葉は皇帝へ「分かりました」という時の決まり文句らしく、何度も言われます。後はその時々でなんのことか分からない音の羅列で、唐人が会話している様子が面白おかしく表現されています。

1)畳一畳分の台に、屋形の作り物を乗せたもの。玉座を表している。
2)唐音は中国語風のたらな言葉のこと。ここの場面のように、決まったフレーズでのやりとりもあれば、時に応じて麻雀用語を交えたりしながら、即興的にアレンジして、中国人が会話している雰囲気を出している。

通辞は日本語で「奏聞(そうもん)したい者があれば何なりと申し出よ」とお触れを出します。

日本からやって来て長年皇帝に仕えていた相撲取りが、いとま乞いをして故郷に帰りたいと申し出ます。名残りに相撲を見せるなら許すと言われ、相撲取りは身仕度をします。3)

3)こうけんにくつろいで(後ろ向きに座り)、後見が手伝って、上着を脱ぎ、小袖の上からたすきを掛ける。
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三宅 晶子

横浜国立大学名誉教授。中世日本文学(特に能楽)、古典教育を専門とする。『歌舞能の系譜――世阿弥から禅竹へ』(ぺりかん社、2019年)ほか、能楽・古典教育に関する著書多数。

岩田 千治

奈良大学文学部国文学科。高校・大学で美術部に所属し、第29回奈良県高校生アートグランプリでは、平面の部 特別賞を受賞した。奈良大学の講義ではじめて狂言に接し、その感動をイラストで表現している。

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